【管理栄養士監修】筋力だけじゃない!強い身体づくりに必要なのは免疫力だった


大事な試合の前に風邪やインフルエンザにかかってしまうと、最悪の場合試合を棄権することになってしまいます。そのような事態を防ぐためには免疫力を高く保つことが必要になります。そのためには一体どのようなことを心がけたら良いのでしょうか。

 

1.病気の予防に免疫力が必要なワケとは

「免疫力」とは、自己防衛力のことです。具体的には、病原体などの異物が体内へ侵入することを防ぐ力や、体内へ侵入した異物を撃退する力、監視する力などを指します。免疫力を高めると、次のような効果が期待できます。

風邪やインフルエンザなどの病気にかかりにくくなる

免疫力を高める、すなわち免疫細胞の働きを活性化させると、病気の原因となるウイルスや細菌が体内に侵入したときに、免疫細胞が素早く反応し、発症する前に撃退してくれます。

ガンの予防効果がアップする

実は、人間の体内では1日に約5000個ものガン細胞が生成されています。免疫細胞はこのガン細胞も退治してくれるので、将来的なガンの発症を防ぐ効果が期待できます。

花粉症やアレルギーの症状が緩和する

花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー症状は、免疫細胞が誤作動を起こした結果、体内に入った安全な物質を危険とみなして攻撃してしまうことによって起こります。しかし、免疫細胞の過剰な働きを調整できれば、アレルギー症状の緩和が期待できるのです。
免疫力がアップすると、これらのようなメリットがあります。では、実際に免疫力をアップさせるためにはどうすればよいのでしょうか?免疫力を高める方法は、次の3つがあります。

  1. 免疫力を高める食材を摂る
  2. 生活習慣を見直す
  3. 適度な運動

まずは免疫力を高める食材についてお話しします。

参考URL

サワイ健康推進課

 

 

2.免疫力をアップさせる食材とは

「免疫力を上げる」とは具体的に言うと「白血球を主体とする免疫細胞の働きを高めること」です。免疫細胞の働きを活発にする食材には、次のようなものがあります。

抗酸化作用に優れた食材

アスリートは日々激しいトレーニングに励むため、体内に活性酸素を多く生成しがちです。活性酸素は強力な殺菌作用があり、体内に過剰に溜まってしまうと、強い酸化力が体内の細胞を攻撃してしまいます。例えば、細胞の老化を早めてしまう、さまざまな生活習慣病の原因になる、免疫力をダウンさせるなどです。そのため、アスリートは活性酸素に対抗する「抗酸化作用」のある栄養素を豊富に含む食材を、積極的に摂ることが必要になります。
抗酸化作用のある栄養素を含む食品には次のようなものがあります。

ビタミン類

・ビタミンA(βカロテン)
レバーやウナギ、玉子、またはほうれん草や人参などの緑黄色野菜など ・ビタミンC ブロッコリーやカリフラワー、大根やかぶの葉、ピーマン、キャベツなどの野菜、アセロラやキウイ、柿、いちごなどの果物
・ビタミンE
たらこやいくらなどの魚卵、なたね油やコーン油、大根の葉、モロヘイヤ、かぼちゃ、アーモンドなど

ミネラル類

・亜鉛
牡蠣や牛肉、玉子、チーズ、ゴマ、大豆など ・セレン かつおぶしやマグロ、アマダイなどの魚介類、たらこ、玉子、ゴマなど この他、トマト緑茶、赤ワイン、キノコなども抗酸化作用が高い食品です。

腸内環境を整える働きのある食材

免疫細胞のおよそ7割は腸内に存在しています。よって、腸内環境を整える善玉菌を増やす食品を積極的に摂ると、免疫細胞が活性化し免疫力アップに繋がります。
ヨーグルトや乳酸菌飲料は善玉菌が豊富です。また、納豆や豆腐などの豆類、バナナ、玉ねぎ、イモ類、海藻類などは整腸作用のある成分が含まれる食材です。腸内環境を整えて、免疫力をアップさせるために、これらの食品をできるだけ毎日摂るように心がけましょう。

 

3.免疫力をアップさせる生活習慣とは

免疫力を高めるために日常生活で注意したいことは次の4点です。

  • 質の良い睡眠を十分にとる
  • 体を温める
  • ストレスを溜めない
  • 前向き思考で明るく過ごす

 

質の良い睡眠を十分にとる

睡眠不足は免疫力の低下に直結します。睡眠中は免疫細胞が最も活発に活動する時間であるため、睡眠時間が削られることは免疫細胞の活動を制限するのと同じと言えます。また、睡眠不足によって、体はストレスを受けてしまうため、忙しくても睡眠時間はできるだけ確保しましょう。
適切な睡眠時間は人によって違いますが、7~9時間を目安としてください。特に、夜の10時から深夜2時までは、成長ホルモンが多く分泌する「ゴールデンタイム」と呼ばれる時間帯です。免疫力を高めるためには、この時間帯はぐっすり眠った状態にするよう努めましょう。

身体を温める

体温が上がると、体内の血流がよくなるため免疫力アップが期待できます。例えば以下のようなことを実行し、なるべく身体を冷やさないように気をつけましょう。

  • 毎日のお風呂はシャワーで済ませるのでなく、湯船に浸かって温まる
  • 練習後は体を冷やさないよう、汗を拭き取って防寒着を羽織る。または、乾いた衣服に着替える
  • 食事はなるべく温かいものを選ぶ

 

ストレスを溜めない

精神的または身体的にストレスを強く受けると、交感神経が優位に働きます。免疫細胞の活性化や免疫機能の働きは、副交感神経によってコントロールされています。そのため、交感神経が優位に働き、副交感神経の働きが抑えられてしまうと、免疫力が低下してしまうのです。
またストレスを感じると、受けたダメージに対処し身体の機能を保つため、体内に通称「ストレスホルモン」と呼ばれるコルチゾールが分泌されます。コルチゾールは、身体をストレスから守る一方で、体内の免疫システムを抑制することが分かっています。

前向き思考で明るく過ごす

免疫細胞の中でも強力な働きをするNK細胞(ナチュラルキラー細胞)は、人が笑うことで活性化すると言われています。
人が笑うと自律神経の中枢である「間脳」が刺激され、神経ペプチドの生産が促進されます。神経ペプチドはNK細胞の働きを活性化させる作用があるので、免疫力が高まるのです。
逆に大きなストレスを感じたり、悲しみに遭遇したりするなど、マイナスの感情を抱くと、間脳は刺激されないため、NK細胞の働きは鈍り、免疫力もダウンしてしまいます。「病は気から」という言い伝えも、単なる迷信ではないかもしれません。

さて、次は免疫力を高める方法の最後となる適度な運動についてご説明します。

 

4.激しい運動は免疫力を下げるってホント?

「激しい練習を積み重ねるアスリートは、一般の人よりも免疫力が低下しやすい状態である」という報告があります。実際に、フルマラソンを終えた選手のうち、50~70%は競技後2週間以内に風邪の症状が確認されたというデータがあります。どうしてアスリートは風邪をはじめとする病気にかかりやすいのでしょうか。その理由は、「行動体力」と「防衛体力」と呼ばれる2種類の体力のバランスに関係しています。

アスリートが日々の練習によって鍛えている筋力または持久力などの体力は「行動体力」といいます。もちろんアスリートは、この行動体力においては一般人よりも高い傾向にあります。しかし、病原菌に対抗する体力は、この行動体力とは別物で「防衛体力」と呼ばれます。免疫力も防衛体力のひとつであり、スポーツのトレーニングでは鍛えることができません。

また、行動体力をアップさせる一般的なプロセスは次の通りです。まず、激しいトレーニングによって、筋繊維が損傷します。そして、損傷した筋線維を修復するために免疫細胞が働きます(この際、腫れや筋肉痛になるなどの「炎症」が起こります)。修復された筋線維は、またトレーニングによって損傷され、再び同じプロセスを経て回復します。この繰り返しによって、筋肉は大きく強化されるのです。
炎症は身体にとって負荷が高いため、毎日の激しいトレーニングで筋繊維の損傷が続いてしまうと、なるべく炎症を起こさないように免疫細胞の働きが抑えられてしまうのです。つまりアスリートの強靭な肉体は、免疫力である「防衛体力」を犠牲にし、パフォーマンスを向上させるための「行動体力」をアップさせることによって作られているのです。

アスリートは優れた身体能力を持つため、病気にも強いようなイメージがありますが、実際は逆で、一般人よりも病原菌に侵される状態に陥りやすい傾向があるのです。そのためアスリートの皆さんには、より一層注意を払ってほしいと思います。

 

まとめ

日々激しいトレーニングを積むアスリートは、一般人よりも免疫力が低下しやすく、感染症にかかりやすい状態です。大切な試合に体調を崩して棄権、なんて悔しいことにならないためにも、行動体力だけでなく、防衛体力にも注意してトレーニングに励みましょう。

 

この記事の監修

 

管理栄養士 澤田亜沙美(さわだ あさみ)

北海道出身 。
大学卒業時、管理栄養士を取得。フィットネスクラブにて管理栄養士兼トレーナーとして、日常の運動指導に加え栄養のアドバイスも行う。また、個別カウンセリング以外にもダイエットセミナーや、ランナーのための栄養講座などの企画をはじめ、フィットネスクラブのトレーナーに対しての栄養学研修を開催する。現在は、健康情報を発信するwebメディアの監修や構成、ライティングを行っている。

関連記事