【管理栄養士監修】スポーツ選手が故障時こそ意識すべき食事の極意とは


スポーツ選手にとって、ケガや故障は精神的にも肉体的にもストレスがかかり、とてもつらい時期です。身体は食事によって作られています。そこで今回は、少しでも早く復帰するために、身体作りに大切な食事に関するアドバイスをご紹介します。

 

故障した!最初にすべきことは?

身体を痛めてしまったら、まずは出血を抑える、アイシングを行うなどの応急処置をします。その後、早めに医療機関を受診し、故障した部位や原因などを特定してもらいましょう。
経験上、「多分、ここだろう」と予測がつくこともあるかも知れませんが、素人判断は危険です。以前経験したことがある故障であっても、繰り返すことによって故障した部位以外に継続的に負担がかかり、広範囲にケアが必要な状態に陥っている可能性もあります。そのため、慣れている痛みやケガの場合であっても、早めに医療機関を受診して適切な診療をしてもらいましょう。

 

【部位別】故障治癒のために摂りたい栄養素って?

摂取すべき食事の量や栄養素は、競技種目をはじめ、ケガや故障した部位によって異なります。医療機関を受診して故障部位の特定ができたら、トレーナーと復帰までの計画を立てると思いますが、この際食事に関する注意事項も確認するようにしましょう。ここでは、何を食べたらどのような効果が期待できるかをご紹介します。

 

筋肉・腱の故障の場合

筋肉や腱は、損傷の度合いにより復帰時期にも大きな差がでます。損傷部位を早く治すためには、どの様な食事や栄養素を摂取するように心がければよいのでしょうか?

 

タンパク質

まずは、誰もが知るタンパク質です。タンパク質は、筋肉や腱を作り出す材料となる栄養素です。タンパク質が含まれる代表的な食材は、肉や魚をはじめ、卵や豆腐、納豆などが挙げられます。体脂肪を気にする必要がある場合は、肉は脂質が少ない赤身肉や鶏むね肉などを選ぶとよいでしょう。脂質をそれほど気にする必要がなければ「牛すじの煮込み」もおすすめです。
タンパク質は、一度に体内に吸収できる量に限界があるため、毎食欠かさず摂取するのがよいでしょう。こまめにタンパク質を摂ることで、故障した筋肉や腱を補うタンパク質を常に体内にストックしておくことができます。故障部位が回復しやすい状態に体内環境を調整するため、筋や腱を故障した場合にはこまめにタンパク質を摂取するようにしましょう。

 

ビタミンB6

ビタミンには多くの種類があります。人間の心身を健康的に保つためにはどれも欠かせませんが、筋や腱を故障した場合には、特にビタミンB6を意識して摂取することが重要です。
なぜならば、ビタミンB6は、故障した筋や腱を補うためのタンパク質を代謝するのに必要な栄養素だからです。ビタミンB6は、タンパク質に一緒に含まれているケースが多く、レバーやまぐろ、かつお、いわしなどに、特に多く含まれています。
しかし、食事からではなく、プロテインを飲んでタンパク質を補給している場合には、ビタミンB6を十分に摂取できていない可能性があります。その場合には、ビタミンB6を別途、食事で補うとよいでしょう。

 

亜鉛

亜鉛はミネラルの1つです。体内に亜鉛が不足してしまうと、細胞分裂がスムーズに行われません。そのため、筋や腱の故障に皮膚の傷を伴う場合は、特に亜鉛が不足しないように注意しましょう。
亜鉛が多く含まれる食材としては、牡蠣・凍り豆腐・肉・卵黄などが挙げられます。
食事から摂るのが難しい場合は、サプリメントで代用することも可能です。推奨量は男性で10mg、女性で8mg。含有量が少ない商品もあるので、サプリメントを購入する際は表示を確認するようにしましょう。

 

骨折の場合

骨折した場合は、長期療養が必要になる可能性が高いため、骨を作る成分を常に絶やさないことが重要です。

 

カルシウム

骨といえばカルシウムと大抵の人が思い浮かぶと思いますが、「1日にどのくらいの量が必要なの?」と聞かれて答えられる人は少ないのではないでしょうか。一般的には、男性800mg、女性650mgというのが推奨量です。
 カルシウムは、牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品はもちろん、小魚(しらすなど)や切り干し大根、桜エビなどにも多く含まれています。体脂肪を気にしている方は低脂肪タイプの乳製品を選び、量に注意して摂取しましょう。

 

ビタミンD

ビタミンDは、カルシウムの吸収率を高め、骨代謝を上げるために効果的な栄養素であると言われています。ビタミンDが含まれる食材としては、魚介類やキクラゲ、イクラなどです。また、人の皮膚は日光を浴びることによってビタミンDを作り出すことができます。そのため、絶対安静の期間後は、食事療法と併せて屋外でリハビリを行うことによって、損傷した骨の再生を促進しやすい体内環境を作れるでしょう。

 

コラーゲン

コラーゲンにカルシウムが定着することによって、骨は形成されています。実に骨の30%がコラーゲンなのです。そのため、骨の再生にはカルシウムだけでなくコラーゲンも必要です。
コラーゲンを多く含む食材には、手羽先や鶏皮、豚足などがあります。また、牛スジもコラーゲンを多く含む食材のひとつです。

 

ビタミンC

ビタミンCは、コラーゲンを合成するために必要な栄養素です。ビタミンCが多く含まれる食材としては、野菜や果物などが挙げられます。食事で摂ることが難しい場合には、サプリメントを代用して積極的に補いましょう。
 また、ビタミンCは水溶性なので、身体の中にずっとキープしておくことができません。よって、食事やドリンクなどでこまめに摂ることを心がけましょう。

 

故障期の食事で注意したいこと

ここまでケガや故障を治すために必要な主な栄養素を挙げてきましたが、故障期の食事の摂り方で注意すべき点をご紹介します。

強度の高い練習を積んでいる時期に比べ、故障期は体重増加を懸念してあまり食事量を摂らないようにしているという選手も多いでしょう。運動量が少ない分、カロリーコントロールをして体重が増えないようにするのは確かに正しいことですが、体重増加を気にするあまり、身体の回復に必要な量の栄養素が摂取できていない可能性もあります。

栄養の摂取が十分でない場合は、ケガや故障が長引いてしまうリスクもあります。そのため、カロリーコントロールをしつつも、きちんと必要な食事は摂るよう心がけましょう。

 

どこで食材を入手するか?

専属栄養士がいたり、自炊が得意だったりすれば、調理に困ることはないでしょう。しかし、「どこで食材を入手して、どのように調理して食べるか」悩んでしまう方もいると思います。そこで、スーパーやコンビニで手軽に入手でき、極力調理をせずに食べられる方法をご紹介します。

 

購入するだけでよいもの

  • サラダチキンやローストビーフ
  • お刺身
  • 納豆や冷や奴、豆乳
  • 牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品
  • カットフルーツ
  • 野菜の煮物や100%の野菜ジュース

調理の工夫

  • ゆでたまごをまとめて作っておく
  • 缶詰を活用する(ツナ缶、サバ煮缶、さんま缶など)
  • しらすや桜エビをご飯にかける
  • サプリメントで代用する

故障部位を治すために必要な栄養素が入っている食材を優先的に選ぶようにしましょう。

 

まとめ

食事は薬と違って即効性があるものではありませんが、人間の細胞は入れ替わります。新たな細胞の材料となる食事は決して無視できるものではありません。復帰を少しでも早められるよう、今回ご紹介した食材や食事の摂り方を参考にしてみてください。

 

この記事の監修

 

管理栄養士 澤田亜沙美(さわだ あさみ)

北海道出身 。
大学卒業時、管理栄養士を取得。フィットネスクラブにて管理栄養士兼トレーナーとして、日常の運動指導に加え栄養のアドバイスも行う。また、個別カウンセリング以外にもダイエットセミナーや、ランナーのための栄養講座などの企画をはじめ、フィットネスクラブのトレーナーに対しての栄養学研修を開催する。現在は、健康情報を発信するwebメディアの監修や構成、ライティングを行っている。

 

 

関連記事