アクロバティックな蹴り技に大興奮! “足のボクシング”テコンドー


2000年のシドニーオリンピックで正式競技となり、世界でも高い人気を誇る韓国の国技、テコンドー。2020年の東京パラリンピックでは、パラテコンドーが正式競技として初採用されたことでも注目を集めています。スピード感溢れる“かかと落とし”や“後ろ回し蹴り”など豪快な足技が繰り広げられ、ダイナミックかつ華麗なアクションが人気です。普段あまりなじみのないテコンドーのルールや魅力について紹介します。

テコンドーの特徴

テコンドーは、韓国で1955年に創始された足技を主体としたスポーツ。漢字では「跆拳道」と表記し、「跆」は“踏む・蹴る・跳ぶ”という足技を、「拳」は“突く・叩く・受ける”という手技を、「道」は“正しき道を歩む”という精神を意味しています。現在、世界206カ国が加盟する世界テコンドー連盟(WTF)によれば、競技人口は約7,000万人とされており、国際的なスポーツへと発展しました

別名「足のボクシング」とも言われ、前蹴り、横蹴り、回し蹴り、逆回し蹴り、後ろ回し蹴り、かかと落としなど、足を使った多彩な攻撃が特徴。スピーディーかつ迫力ある試合展開と、全身をバネのように駆使して繰り出される華麗な足技が、多くの人を魅了しています。

テコンドーの代表的な種目には、「型」と「組手」があります。「型」はテコンドーの基本動作が体系化されたもの。実際の攻防を想定した一連の流れのある動きで構成され、技の正確性やキレ、表現力などの総合得点で競われます。一方、オリンピックに採用されている「組手」は、向かい合う面 (対極線) との距離が8mの八角形の競技コート上で、1ラウンド2分間、合計3ラウンドのポイント制で行われます。

基本的にフルコンタクト(寸止めではなく直接打撃すること)ですが、防具やプロテクターを装着し、相手にダメージを与えるような強い蹴りではなく、いかに速く的確に当てるかが重視されます。

 

空手との違いとは?

武道や格闘技にあまり興味がない人にとっては、「テコンドーと空手の区別がつかない!」と感じることもあるのではないでしょうか? 今では「武器を使わない東洋武術」として世界でも人気の両スポーツですが、どこに違いがあるか分からないことも多いですよね。そこで、それぞれの特徴と違いをまとめてみました。

【歴史】

テコンドー

1955年、韓国の崔泓熙(チェ・ホンヒ)氏が創始した格闘技。古くから朝鮮半島に伝わる古武術「テッキョン」や中国武術、そして崔氏が日本留学中に学んだ松濤館空手が母体となっています。

空手

沖縄において日本独自の徒手空拳(としゅくうけん)(=手に何も持たない)の武術として発展し、国内に普及する過程において、日本古来の“武道”の精神を継承しながら、術から道に発展した日本固有の“武道”。

【技】

テコンドー

拳による突きも技としてあるものの、足蹴りが技の中心。前蹴りや横蹴り、後ろ蹴りはもちろん、ダイナミックな飛び蹴りなどもあり、とにかく足技が多彩。

空手

「突き・蹴り・打ち」を早く正確に力強く極めるかの攻防が基本となります。 身体全体を使って隅々まで意識して動作しなければならないのが特徴です。

【間合い】

テコンドー

足技がメインなうえ相手を倒すのではなくポイントを奪う競技なので、間合いをとり、それぞれ“相手に当てられないようにする”ことが何より大切。

空手

直接打撃制(フルコンタクト)の極真空手などは、突きも蹴りも“ただ当てる”のではなく、“相手にダメージを与える”ことが重要となるので、間合いを詰めてより攻撃力をアップさせます。またポイント制の寸止め空手(ノンコンタクト)でも突きが主体となるので、テコンドーよりは必然的に近い距離感で戦うことになります。

【勝敗】

テコンドー

ポイント制。胴部と頭部という決められた場所に、有効的な蹴りを当てることでポイントが加算され、最終的にポイント数の多い方が勝利となります。ほかにも「ノックアウト勝ち」や反則の累積による「失格負け」などで勝敗が決まる場合もあります。

空手

直接打撃制(フルコンタクト)は、ポイント制とノックアウト制を両方採用していますが、ノックアウトした選手を勝ちとするのが基本。ノックアウトがなかった場合は、審判による判定で勝敗を決めます。寸止め空手(ノンコンタクト)は、テコンドー同様ポイント制で、「一本」「技あり」「有効」で得たポイント数で勝敗が決まります。

 

得点の付け方を解説!

前述した通りポイント制で戦うテコンドーの組手ですが、どのような得点の仕組みになっているのでしょうか?

防具を着けた胴部と頭部への攻撃にポイントが与えられています。蹴りが攻撃の主体ですが、胴部への突きは認められていて、決まると1点、通常の蹴りでは、胴部が2点、頭部が3点。回し蹴りだとポイントが加算され、胴部が3点、頭部が4点となります。従って選手は高得点を狙って、胴部より頭部、通常の蹴りより回し蹴りを繰り出すことが多くなっています。

また、反則行為として「マットの境界線から両足が出てはいけない」、「相手の攻撃を避けるために背中を見せてはいけない」、「攻撃を仕掛けず消極的な態度が続く」などがあり、減点対象となります。こうした得点と減点の集計により勝敗が決定。さらに、ポイント制ではあるものの一撃によるノックアウトで決着がつく場合も。ボクシングのような激しさも見どころの一つです。

現在、国際大会では電子センサーが付いた防具が使用され、攻撃が有効か無効かを機械が判定するシステムを採用。これにより、審判員の位置によって有効打を見逃すケースが減り、より公正で透明性の高い競技へと進化しました。

 

パラリンピックではどんなルールに?

東京パラリンピックにおいてテコンドーは、上肢に障がいのある選手が対象となっています。障がいの程度により、4つのスポーツクラスに分けられ、男女別に体重階級制(各3階級)で競われます。基本的なルールはオリンピックと変わりませんが、突きはポイントになりません。

またパラリンピック特有のルールとして、胴部への足技だけが有効な攻撃で、頭部への蹴りは反則。ポイントでは、後ろ蹴りからさらに軸足を入れ替え、回転して蹴りを行う“計360度の回転蹴り”という大技では4点が与えられるので、一発逆転のチャンスも。

 

まとめ

まるでアクション映画のように次々と繰り出される、鮮やかな足技の数々。一度見ると、そのアクロバットな動きに魅了されること間違いなし! ぜひ注目してみてくださいね。