「車いす」を使ったパラスポーツには、どのような競技があるの?


パラスポーツで、下肢(下半身)に障がいのある選手たちにとって、欠かせない道具となるのが「車いす」です。東京パラリンピックでは全部で22競技が開催されますが、そのうち競技名に「車いす(ウィルチェアー)」が付いた競技は4つ、「車いす」クラスが設けられている競技は3つあります。そこで今回はどんな「車いす」競技があるのか、またそれぞれの「車いす」の違い、特徴などを紹介します。
※今回の記事は「車いす」をメインに使用して戦う競技の紹介となるため、アーチェリーやボッチャなど「車いす」を補助具として使用する競技の説明は除きます。

東京パラリンピックの「車いす」競技とは?

普段なかなか目にすることが少ない「車いす」競技には、どのような競技やルールがあるか、ご存知ない方も多いのではないでしょうか。東京オリンピック前に予習をしておけば、競技をより楽しめますよ。

「車いす(ウィルチェアー)」の名前が付いた競技

車いすバスケットボール

1チーム5人制で、コートの大きさやゴールの高さなど、基本的には一般のバスケットボールと同じ。スピードや俊敏性、持久力に加え、ジャンプの力を使わずに高いリングへシュートする腕力に目を奪われます。「車いす」競技ならではのルールとして、ボールを持ったまま「車いす」の車輪を2回までをこぐこと(プッシュ)が認められていますが、連続して3回以上車輪をこいでしまうと、トラベリングの反則となります。なお、一般のバスケットボールでは反則となる、ドリブル後に一度ボールを持ってから再度ドリブルをする「ダブルドリブル」は適用されません。また、選手の障がいの程度や運動能力に合わせて各選手に持ち点(1.0点〜4.5点の0.5点きざみで8クラス。数字が大きいほど障がいが軽い)が付けられ、コート上にいる1チーム5選手の持ち点合計が、14.0点以下になるように編成されています。

車いすフェンシング

相手を剣で突くとポイントになるなど、得点に関する基本的なルールは一般のフェンシングとほぼ同じですが、「車いす」を固定し、上半身だけで戦うのが特徴です。お互いの位置が固定されているうえ、相手との距離も近く一定なので、剣さばきのスピードやコントロール、至近距離での駆け引きが勝負を分ける大きなポイント。「フルーレ」(メタルジャケットを着た胴体のみの突き)、「エペ」(上半身の突き)、「サーブル」(上半身の突きと斬り)の3種目があり、それぞれ障がいの種類や程度によって2クラスに分かれて競います。

ウィルチェアーラグビー

バスケットボールと同じ広さのコートを使い、専用の「車いす(ウィルチェアー)」に乗って戦います。1チーム4人制、1ピリオド8分×4ピリオドを行い、合計得点を競います。バレーボールを参考に開発された専用ボールを使用し、投げたり、ドリブルしたり、転がしたり、膝の上に乗せたりと、蹴ること以外の方法でボールを運ぶことができ、さらに一般のラグビーと違って、前方へのパスが認められているのが「ウィルチェアーラグビー」特有のルール。その違いが見どころでもあります。2つのパイロン(三角コーン)の間にゴールラインがあり、ボールを保持している選手の「車いす」の2つの車輪がこのゴールラインを超えると得点となります。選手は障がいの程度によって、持ち点(0.5点~3.5点の0.5点きざみで7クラス。数字が大きいほど障がいが軽い)が付けられ、コート上にいる1チーム4選手の持ち点の合計が、8.0点以内になるような編成が必要。

車いすテニス

2バウンドまでの返球が認められている(2バウンド目はコートの外側でも良い)以外は、コートの大きさ、ネットの高さ、使用するラケットやボールなども一般のテニスと同じ。テニス自体のスキルはもちろん大切ですが、片手でラケットを持ちながら前後左右にすばやくコートを動き回るため、「車いす」を巧みに操作する技術(チェアワーク)が重要となります。トップ選手ともなると、身体の一部のように「車いす」を自在にコントロール。通常のテニスと変わらないスピーディな展開が楽しめます。

「車いす」クラスのある競技

陸上

主に3輪の「レーサー」と呼ばれる軽量の競技用「車いす」を使用します。短距離や中距離のトラック競技、マラソンなどのロードレース競技がメイン。

バドミントン

コートの大きさやネットの高さは一般のバドミントンと同じですが、「車いす」のシングルスは通常の半面で行われます。また「車いす」クラスに限り、ネット周辺の一定範囲に落ちたシャトルはアウトに。

卓球

使用する卓球台やネットの高さは一般の卓球と同じですが、「車いす」クラスでは、サーブしたボールが相手コートのエンドライン(選手側手前のライン)を正しく通過せずに、コート側面のサイドラインを割ってしまうとレット(無効)となり、サーブのやり直しに。またダブルス戦においては、一般の卓球ペアの場合2人は交互に打球しなければいけませんが、「車いす」クラスでは最初のサーブ→リターンのみ打球する選手が決まっていますが、それ以降はペアのどちらの選手が打球してもOK。

 

競技によって異なる「車いす」の使い方や特徴

同じ「車いす」競技でも、競技の特性により「車いす」の使い方や形状、特徴が違います。

車いすバスケットボール

スピードと俊敏さ、そして激しさが伴う競技なので、軽くて耐久性のあるバスケットボール専用の「車いす」を使用。試合中「車いす」がぶつかり合うことが度々あるため、「車いす」前方に足を保護し、ほかの「車いす」に引っかからないようにするためのバンパーが取り付けられています。

車いすフェンシング

「ピスト」と呼ばれる装置に車いすを固定。試合中は「車いす」の操作は必要ありません。

ウィルチェアーラグビー

「車いす」競技のなかで唯一、「車いす」でのタックル(ぶつかり合い)が認められているので、激しいコンタクトプレーにも耐えられる頑丈な競技用「車いす」を使用。攻撃がメインの選手の「車いす」は、小回りが利くようにコンパクトで丸みを帯びた形をしていて、相手の守備にひっかからないように工夫されています。一方、守備がメインの選手は、相手の「車いす」にぶつけたり引っ掛けたりして相手の動きをブロックするために、バンパーが飛び出ています。

車いすテニス

回転性や敏捷性の高いテニス専用の「車いす」を使用。上半身が自由に動かせるよう、背もたれが短いのが特徴です。四肢まひの重度障がいがある選手を対象とした「クアード」クラスの選手は「電動車いす」の使用が認められる場合もあります。

まとめ

競技技術はもちろん、巧みな「車いす」の操作も重要となるパラスポーツ。「車いす」同士の激しいぶつかり合いや、前後左右への自由自在の切り返しなど、普段見ている競技とはまた違った「車いす」競技ならではの魅力がいっぱいです。ぜひ注目してみてくださいね!