スポーツクライミングにおける「スピード・ボルダリング・リード」の違いって?


東京オリンピックの競技にも決まり、世界大会などでも日本人選手が活躍していることから、国内でもますます盛り上がりを見せるスポーツクライミング。この名称を知らなくても、「ボルダリング」と聞けばピンと来る人も多いですよね。「ボルダリング」とスポーツクライミングはどう違うのか、またスポーツクライミングとはどんな競技なのか、それぞれについて解説します。

スポーツクライミングとは

東京オリンピックにおけるスポーツクライミングは、「スピード」、「ボルダリング」、「リード」という3種類のクライミングの複合種目として実施される競技です。つまり、よく耳にする「ボルダリング」は、スポーツクライミングという競技の中の1種目ということになります。

通常は単独種目で行われる「スピード」、「ボルダリング」、「リード」ですが、スポーツクライミングでは各選手が3種目すべてを行い、これら3つの合計で順位が決まります。では、この3種目はどんな競技なのでしょうか。まずは、各種目の特徴や勝敗の決め方をみてみましょう。

①スピード

<競技概要>
ホールド(突起物)が配置された高さ15mの壁を、どれだけ早く登るかを競う種目。95度に前傾した壁には同一の2本のルートがセットされており、安全確保のロープを装着した2人の選手が隣り合わせで壁を登り、タイムを競います。ホールド(突起物)の位置はあらかじめ選手に告知されているので、同じルートで事前にトレーニングを行うことが可能。
<勝敗の決め方>
予選のタイム順に上位16位までが決勝トーナメントに進み、決勝トーナメントは勝ち抜き戦です。予選順位の高い選手と低い選手が1回戦で当たるように組まれ、タイムの早い選手が勝ち上がる方式。

②ボルダリング

<競技概要>
高さ3~5mの壁にホールド(突起物)を設置し、複数のコース(課題)が組まれます。ボルダリングでは、制限時間内に登り切れたコース(課題)の数を競います。1つのコースには1つのゴールとなるホールドがあり、定められたスタート位置から始めて、このゴールホールドを両手で触り安定した姿勢を取ると完登=クリアとみなされます。各コースとも制限時間内であれば、途中で落下しても何度でもトライが可能です。
<勝敗の決め方>
制限時間内に完登したコースの多い選手が勝ち。同数の場合は、完登に要したトライ数の少ない選手が上位となります。通常4~5コースが設定され、予選・準決勝は各コース5分間、決勝は4分間でそれぞれ完登を目指します。

③リード

<競技概要>
高さ15m以上の壁を、制限時間内にどの地点まで登れるかを競う種目。選手は腰にロープ付きハーネスを装着し、ルートの途中に設置されているボルトの確保支点に、ロープを掛けながら登ります。最上部にある最後のホールド(突起物)をつかみ、最終の確保支点にロープをかければ完登=クリア。途中で落下したり制限時間切れになったりすると、登れた地点までの高さが記録となります。ちなみに落下すると競技終了となり、再トライはできません。
<勝敗の決め方>
制限時間内に、より高い地点まで到達した選手の勝ち。選手同士の到達した高さが同じとなった場合、その高さまで到達した時間のより短い選手が上位となります。通常、予選は6分間、準決勝・決勝は各8分間で競われます。

東京オリンピックのスポーツクライミングでは、「コンバインド」と呼ばれる採点方式が採用されています(2018年9月現在)。これは「スピード」、「ボルダリング」、「リード」3種目の順位を“掛け算し”、結果の数字が小さい選手ほど上位となる方式です。よって、極端な苦手種目がなく、かつ1種目にズバ抜けた成績を出せる選手が優勝に最も近いといえそうです。

 

各種目で求められる能力が違う!

同じクライミングでも、各種目の特徴により必要な能力も異なります。それぞれに合わせたスキルを磨かなければいけないのが、スポーツクライミングの難しさでもあります。

①スピード

何よりも「瞬発力」が重要。また、隣の選手を常に意識しながらのレースとなるため「メンタル面の強さ」も大切で、いかに自分のクライミングに集中できるかが鍵となります。優勝タイムは、男子で5~6秒、女子で7~8秒とされており、あまりの速さに瞬きも忘れてしまうほどです。

②ボルダリング

選手にホールド(突起物)の事前告知はないうえ、他の選手のトライを見ることもできないため、初見で登るルートを考えなくてはいけません。したがって、瞬時にルートを解析し実行する「判断力」や、難易度の高いコースを攻略する高い「身体能力」などが必要とされます。

③リード

最も長い距離を登る種目なので「持久力」は必須。また、最小限の力で登っていくための「技術力」や、なるべく体力の消耗を防ぎ、短時間で効率良く登るための「戦略性」も要求されます。またボルダリング同様、ホールド(突起物)の事前告知がなく、他の選手のトライも見られないので、初見で登るルートを見極める「判断力」も必要不可欠。

それぞれ特徴が異なり、選手によって得意・不得意が分かれるため、最後の最後まで順位の予想ができないのがスポーツクライミングの醍醐味でもあります。

 

ボルダリング&リードで必要な「オブザベーション」

ボルダリングとリードは“どのように登るのか”を問われる種目でもあります。したがって、完登するためには初見でどのような手順でどう手足を動かして登るかをイメージし、攻略方法を考える「オブザベーション(=観察)」がカギとなります。他の選手のクライミングを見ることは、この「オブザベーション」を可能にし、見た選手に有利に働いてしまうため、ボルダリングとリードでは事前に下見のできない「オンサイト方式」が採用されています。

完登するための体力、精神力を鍛えることはもちろん、“オブザベーション力”をアップさせることが上達への第一歩となりそうです。

 

まとめ

クライミングの総合力が試されるスポーツクライミング。体力だけでなく、戦略的思考能力が求められる知的なスポーツとして人気を集めています。観戦して興味をもった方は、ぜひ近くのクライミングジムに足を運んでみてくださいね。