メダルも射程圏内!日本男子陸上400mリレーが世界に通用する秘密


100m走で10秒の壁を破る期待がかかる日本男子陸上、楽しみですね。アジア人は短距離に弱いと言われていますが、実は400mリレーでは日本は以前から着実に実績を残してきました。同じ短距離でありながら、400mリレーでは世界に通用する、その秘密に迫ります。

日本男子陸上短距離陣に立ちはだかる世界の壁

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日本男子陸上短距離では、桐生祥秀選手やケンブリッジ飛鳥選手など日本人ではじめて10秒の壁を破ることができるかが期待されています。もともと短距離走は南米やアフリカ、アメリカ等黒人選手が圧倒的に強く、それに続いて白人選手と言われ、アジアの選手はファイナリスト、つまり決勝に進出することだけでも素晴らしいと言われていました。
そんな中、日本は四継と呼ばれる400mリレーでは着実に力を付けており、2015年5月のワールドリレーズ決勝では3位入賞。8位までに付与される2016年リオデジャネイロ五輪の出場権を獲得しています。400mリレーではメダルも期待できるその理由はなんなのでしょうか。

基礎はできていた!中学、高校と体育祭の花形だった400mリレー

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陸上は個人競技が多く、それぞれが自己の記録に挑戦するスポーツといえます。そういう中で、海外ではチームワークで走るというリレー競技には重きをおかない雰囲気がありました。
一方、日本を見てみると、小学校、早いところでは幼稚園や保育園の運動会からリレー競争があり、リレーを身近に親しんでいました。皆さんの中で、バトンを一度も触ったことがないという方は少ないのではないかと思います。
小・中・高校の運動会や体育祭では、リレー競技は花形競技でした。クラスの、あるいは部活の足の速い生徒が選手に選ばれ、それは名誉なことでした。速いだけではリレーは勝てない…それも皆さんなら既におわかりかもしれません。どんなに早いチームでもバトンパスでミスを犯すと、途端に順位が下がることを日本人の多くは身をもって知っているのではないでしょうか。

バトンパスの種類とそれぞれのメリット・デメリット ・オーバーハンドパス

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オーバーハンドパスは、受け手が後方に手を伸ばし上に向けた掌に、渡し手が上からバトンを渡すバトンパスです。このバトンパスのメリットは、お互いが手を伸ばすために距離とタイムが稼げるということです。デメリットは、受け手が不自然に手を上げるために加速がしづらいのと、うまく手に押し込まないと落下などのミスが起きやすいということです。

・アンダーハンドパス
アンダーハンドパスは、受け手が下に向かって出した手に、渡し手が下から上へ差し込むように渡す方法です。このバトンパスは接近して渡さなければならないために距離を稼げないというデメリットがありますが、メリットとしては受け手の走るフォームをあまり崩すことなく受け取れるので、その後の加速がしやすくなるということです。かなりの練習も必要ですが、成功率はこちらの方が高く安全で、バトンパスのミスが格段に減ります。

小・中・高と学校で習ったのはオーバーハンドパスでした。リレーの練習にあまり時間を割かない海外でも、このオーバーハンドパスが主流です。しかし、日本代表では、アンダーハンドパスを取り入れています。タイムでは海外の選手に負けてしまう分を、日本の選手は地道なバトンパスの練習で補っていたのです。

トップの信念が日本の400mリレーを強くした!

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日本の400mリレーの躍進には、日本陸上競技連盟第5代会長を1975年から1999まで務めた青木半治氏の力によるところも大きいのです。青木氏は就任当時、弱くてオリンピックへの派遣を中止していたリレーについて、「リレーが基本であるから、400mリレー競技についてはどんなに弱くてもオリンピックに派遣をするべき」という信念で、1988年のソウルオリンピックから派遣を再開させました。そうして、世界の舞台に挑み続け研鑽を重ねた結果、今の活躍を見ることができるようになったわけです。
青木氏本人は現役時代は砲丸投げの選手でしたが、他の種目についての深い理解が今の400mリレーの強さにつながっているのです。

技あり日本!その巧妙な新バトンパスと日本の強さの秘密

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2015年5月3位に入ったワールドリレーズの少し前から、日本では新しい形のアンダーハンドパスを考えて練習してきました。これはその年の2月のナショナルリレーチームの合宿でコーチ陣から発案され、選手もスタッフも交えて激論、試走、激論と日夜試行錯誤を続けて産み出した新しいバトンパスの方法なのです。
リレーは普通、第2、第4にタイムの速い選手を置き、第1はスタートダッシュが得意な選手、第3はコーナリングが得意な選手を置きます。しかし、今の日本代表は、その全員がどこを走っても大丈夫なだけの力がある…この選手層の厚さが強さの秘密でもあるのです。

まとめ

普段はそれぞれが短距離の競技者としてライバルでありながら、チームを組めば互いに助け合い話し合って良いチームを創り上げる。和を尊ぶ日本ならではのチームの形です。日本が400mリレーに強いというのも納得してきますね。リオデジャネイロ五輪では精一杯声援を送りましょう。