スポーツ選手がセカンドキャリアで必要なものは「学び」だった!


スポーツ選手が引退した後のセカンドキャリア。20代~30代で終わるスポーツ選手としてのファーストキャリアよりも、はるかに長いセカンドキャリア。このセカンドキャリア形成のために、最もやるべきことは何なのでしょうか。

スポーツ選手が考えるセカンドキャリアの実態とは

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実業団チーム全盛期は、企業がスポーツ選手を抱えており、引退後はそのまま企業で仕事を続けられたため、スポーツ選手のセカンドキャリアは安泰でした。プロのスポーツ選手に関しても、小さな頃からスポーツを続けてプロとして身を立てている選手は、元々才能に恵まれた人や、あるいは人一倍の苦労をして今の地位を築いた立身出世の人で、その名声を使い引退後も指導者や解説者、協会役員など、やはりセカンドキャリアは安泰といえました。
しかし、国が豊かになり、スポーツ振興の結果、多くの競技団体が生まれ、スポーツ選手人口が増えた今、すべての選手のセカンドキャリアが安泰というわけにはいかなくなりました。一部の有名選手や企業選手を除くと、引退後の就業がうまくいかずに苦労している選手が多いというのが実情です。
日本野球機構が毎年10月に宮崎県で開催している、プロ野球の教育リーグである「みやざきフェニックス・リーグ」において、参加したプロ12球団の若手選手に調査した「セカンドキャリアに関するアンケート2015年版」(有効回答数238)によれば、引退後に不安を感じている選手は全体の72.7%(前年比3.4ポイント増)となっています。
以前は、引退してスポーツでのキャリアを終えてから、セカンドキャリアを考えるというのが当たり前でした。しかし、それでは一般の人が就職活動をする年齢よりもかなり遅れてしまい、一般労働市場では不利になることから、今は引退を考えるようになってからでは遅く、現役時代から引退後のセカンドキャリアをどうするか考えておく必要性が生じています

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海外のセカンドキャリア事情

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アメリカのスポーツ週刊誌Sports Illustratedは、アメリカ最高峰のアメリカンフットボールリーグであるNFLの元選手の8割近くが引退後2年間で財政的危機に瀕し、北米の男子プロバスケットボールリーグであるNBAでも、引退後5年以内に6割近くが破産していると伝えています。これらの原因として、失業や離婚などの理由の他、競技に集中してきたために金融知識を学ぶ機会がなく、怪しい人物からの投資話に乗ってしまった例などが挙げられています。
このように、華々しい現役生活の中で日本では考えられないような高額の契約金を得るプロスポーツ選手がいる海外でも、スポーツ選手のセカンドキャリアについては問題が起きているようです。海外のセカンドキャリア事情はどのようになっているのでしょうか。

アメリカでは、MLBやNBAなどのプロ選手が大学に戻って学びなおすケースも多く、大学がセカンドキャリア養成の受け皿となっています。アメリカにはコミュニティ・カレッジという公立の二年制大学があります。これは地域住民が誰でも希望すれば学べるもので、入学難易度も低く学費も安く、コミュニティ・カレッジを出た後にさらに望めば四年制生大学に編入することも可能となっています。競技を引退した選手は、このコミュニティ・カレッジなどでセカンドキャリアに役立つ学びを得ることができます。

イギリスでは、スポーツ選手が教育を受けながら競技生活を送るため、2004年に全国の大学と連携するハブ拠点となるTASSという組織を作りました。ワールドクラスの選手を対象として、TASSのネットワークにある大学とプログラム開発を行い、メディカル&フィジオセラピー、ライフスタイルサポートなどを選手に提供しています。
カナダでは、1985年にカナダ・オリンピック・アスリート・キャリアセンターができ、引退したアスリートのキャリア支援を開始しました。その後支援は地方自治体へと移管され、支援の対象は現役選手に広がり、現役時代からカウンセリングやキャリア形成などの支援を行っています。これらの施策は選手が引退後のセカンドキャリアとなる仕事を得ることに留まらず、選手の人生がより豊かになるために行っています。

各国のいくつかの事例で共通するのは、スポーツ選手が持つセカンドキャリアの問題は日本と同じように多くの国で起こっており、それについての支援は引退後の選手に対してだけではなく、現役時代のうちからセカンドキャリアを考えさせるような支援を行っているということです。

トップ選手でもセカンドキャリアでは新たに「学ぶ」ことが重要

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多くのスポーツ選手は、中学生、高校生という将来に向けて学業に力を入れる大切な時期が、スポーツキャリアの上でも重要な時期と重なってしまい、競技中心の生活で必ずしも十分な勉強ができなかったケースも多い状況にあります。スポーツの成績が良ければ、スポーツ推薦入試などがあり、場合によっては大学までスポーツの力で進学できるため、勉学重視である必要もなかったのです。

しかし、一般の選手が現役引退した後、一般労働者と同じ土俵でセカンドキャリアとなる仕事を得ようとする場合、スポーツ選手という経験がプラスになる反面、10代の時期に学べなかったものがある点はマイナスとなります。

学びは大人になってからでも遅くはありません。日本では、アメリカのコミュニティ・カレッジのようなシステムはありませんが、スポーツ選手のセカンドキャリア支援としてスポーツ選手向けの社会人入試のある大学や、スポーツ選手特待制度で入学できる専門学校などがあります。現役選手が資格取得のために通っているケースもあり、やる気になれば今からでも遅くはないのです。

セカンドキャリアを考えてスポーツ選手が選ぶ3つの学び

スポーツジムプール

引退後のセカンドキャリアを考えた時何を学べばいいのか、3つの例を紹介します。

スポーツトレーナー

現役選手時代に大変お世話になったスポーツトレーナー。引退後は自分がスポーツトレーナーになって、今度は選手を陰で支えたいと思う方も多いでしょう。選手の心理をよく理解している元スポーツ選手だからこそ、選手に寄り添ったスポーツトレーナーになることができると言えます。
スポーツトレーナーは国家資格ではありません。資格が欲しい方は、民間で日本体育協会が認定する「公認アスレティックトレーナー」と、特定非営利活動法人ジャパン・アスレチック・トレーナーズ協会(JATAC)が認定した「アスレチック・トレーナー」などがあります。
日本体育協会が認定する公認アスレティックトレーナーを例にとると、このアスレティックトレーナーの養成カリキュラムを受けるには、協会の加盟団体または協会が認めた国内統轄競技団体の推薦を受ける必要があります。
また、法律で「人の体に触れる医療類似行為をする場合、医療系の国家資格が必要」とあることから、プロスポーツトレーナーの多くは、柔道整復師や、マッサージ師、あるいは理学療法士などの国家資格を取る人が多いです。

経営学

大相撲力士が引退後「ちゃんこ鍋店を開く」など、現役時代に貯めた資金と知名度で、引退後のセカンドキャリアとして飲食店などの経営に乗り出すスポーツ選手も多くいます。しかし、華々しく開店した店が、すぐに経営に行き詰まってしまう例も多く見受けられます。話題性だけで一時は流行ったとしても、ビジネスの知識がなく経営学にうとかったことが失敗の要因の一つと考えられます。セカンドキャリアとして起業を考えるなら、経営学や経理などの専門知識を取得しておく必要があります。

教職

スポーツ選手を目指すきっかけとなったのは、学生時代に部活でお世話になった恩師との出会いという選手が多いです。恩師のように、自分も部活指導をしたいという思いがある選手もいるのではないでしょうか。
部活動での指導となると、やはり教職に就くのが一番ですが、現役引退後に教育免許を取得するための大学受験をするとなるとかなりハードルは高くなります。しかし、社会人入試制度を利用してチャレンジしたり、既に大卒資格を持っているのなら大学に戻り教職課程を取ったりすることが可能です。

まとめ

引退後のセカンドキャリアを考える時、大切なのは「学び」の姿勢です。現役時代から自分がどのようなセカンドキャリアを築きたいかを考え、学んでおくことは可能です。競技の世界で培った集中力で、人生の第二ステージを豊かなものにするために学びを取り入れましょう。

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