Excelでペース表を作ろう【アスリートのためのOffice入門2】


2007年に始まった東京マラソンの開催をきっかけとして、日本ではここ数年マラソンブームが続いています。10年目を迎えた2017年大会の抽選倍率は、なんと12.2倍 !フルマラソンを完走できる人が年々増える中、多くのランナーはフルマラソンの目標を「完走すること」から、完走者の上位30%ともいわれる「サブ4(4時間切りを表すランナー用語)」にシフトさせています。

ただ、サブ4達成にはある程度のペースでコンスタントに走り続ける走力が必要です。シリーズ「アスリートのためのOffice入門」第2回は、Excelを使って自分の目標にあったペース表を作るヒントをご紹介します。

 

市民ランナーがマラソンでサブ4を狙うなら「ペース表」は必須です!

市民ランナーの間では、何度チャレンジしても4時間切りが達成できないランナーのことを「サブ4難民」と呼ぶことがあります。42.195キロを4時間以内で走りきるには様々なトレーニングが必要ですが、「今シーズンこそ、サブ4を達成したい!」と練習を積み重ねても、当日に運悪く風邪をひいてしまったり、仕事が忙しく寝不足のまま走って実力を発揮できなかったりと、予期せぬトラブルが起こることも多いのです。

年に数回のフルマラソン本番で4時間を切るために必要 なのが、「1キロ5分20秒」前後のペースを刻みながら最後まで走ること。ですが、ずっと時計とにらめっこ状態で走る訳にはいきませんので、多くの人が自分用の「ペース表」を印刷してウエストポーチに入れていたり、目標とする通過時刻をペンで手に直接書いたりしています。
では早速、あなたをサブ4達成へ導くコーチ的存在ともいえる「ペース表」の作り方 をご紹介します。

 

STEP1:4項目を表示させる表を作成する

まずは、Excelを使って表を作成します。表にはこの4項目を記載しておくと、今の自分が目標よりいいペースなのか、それとも遅れているのかを瞬時に判断できるでしょう。

  • 距離
  • 目標ペース(1kmを何分で走るか)
  • タイム(スタートからの経過時間)
  • 通過時間

STEP2:「セルの書式設定」で時間の表示形式を設定する

次に、「セルの書式設定」を使って、時間の表示形式を設定します。これは、目標ペースエリア(A)は●分●秒で表示させ、タイムと通過時刻エリア(B)は●時●分とそれぞれことなる単位で表示させるためです。

なぜA・Bで表示形式を変えるのか。これは、目標ペース(A)は秒単位で細かく設定するのに対し、結果として表示させるタイムと通過時間(B)は分単位の表示で(シビアな結果を求められない市民ランナーにとっては)十分であり、かつ、走りながら見るためのデータはシンプルな方が良いからです。

まずはAのエリアを選択し、右クリック → [セルの書式設定] を左クリック。表示形式タブから[ユーザー定義] → mm:ss を選択します。つまり、5分20秒を 00:05:20と入力すると05:20と表示されるようになります。
次にBのエリアを選択し、同じ作業でh:mmを選択します。こちらは、9時は9:00と入力するとそのまま9:00と表示されます。h=hourつまり時、m=minuteは分、s=secondは秒を意味しています。

 

STEP3:スタート時間と目標ペースを入力する

今回は基準となるペースを5分20秒に設定。スタート時は込み合うことを想定して最初は少しゆっくり、徐々にペースを上げて、15km~30km地点までは1キロを5分20秒で進みます。足の痛みや疲れが出てくる30km以降は、徐々に遅れたりトイレに寄ったりすることも想定してペースを下げ、ゴール前はラストスパートをかけることにしました。

目標ペースが決まれば、「セルの書式設定」のルールに従って、スタート時間は9:00、ペースの5分20秒は 00:05:20と入力します。

 

STEP4:5km地点のタイムを表示させる計算式を入れる

次に、タイムと通過時間を表示させる計算式を入力しましょう。

タイムは、距離×目標ペースで計算することができます。つまり、5km地点でのタイム(経過時間)を出すには、D5セルに[=5*C5]という計算式を入れます。これは[=5km×05:40(5kmまでの目標ペース)]を表しています。D5セルには答えとして0:28が表示されましたので、5km地点へ28分で走ることが必要であるとわかります。

そして、10km地点でのタイムを出すために、D6セルに[=5*C6+D5] という計算式を入れます。これは[=5km×05:30(10kmまでの目標ペース)+D5(5km地点でのタイム)]を表しており、答えとして0:55が計算されました。 そして、D6セルの計算式をD7~D14までコピーしましょう。D6セルを選択し、セルの右下に登場する+マーク(※オートフィル)にポインタを合わせ、D14までドラッグ します。
※オートフィル:ドラッグ操作で連続データを作成しながらセルのコピーを行う機能

ただしこのままでは、全てのセルに5kmの距離をかけてしまっているので、ハーフ・25km・ゴール地点の計算式を修正する必要があります。

20kmからハーフ地点までは1.1km、ハーフ地点から25kmまでは5-1.1=3.9km、40kmからゴールまでは2.195kmの距離×目標ペースが正しい計算式になるので、それぞれのセルをクリックして計算式を修正しましょう。
※わかりやすいように、特別に該当するセルへ色を付けています

 

STEP5:セルの「絶対参照」を使って通過時間を計算する

次に、通過時間を表示する計算式を入力しましょう。

通過時刻は、スタート時間+5km、10km、15km…のタイムで算出することができます。つまりE4+D5、E4+D6、E4+D7…と、常にE4(スタート時間の9:00)セルに各地点でのタイムを足す計算式が必要になります。

ここでもし、STEP4と同じオートフィル(ドラッグ操作による連続データコピー)を行っていると、E4+D5、E5+D6、E6+D7…と、コピーした位置に応じて参照しているセル番地がどんどん変化してしまい(相対参照)、正しい時刻が算出できません。通過時刻を出す計算式は、Excelの標準機能でもあるオートフィルを使った相対参照ではなく、必ず参照させたいセルを固定させた絶対参照にする必要があります。

今回のペース表では絶対にE4セルを参照させる必要があるため、E5のセルに計算式を入れる際、E4をクリックした後に[F4]キー(一部のノートPCは[Fn+F4])を続けて押すと、[$E$4]と表記が変わります。$マークが付与されたセルは絶対参照されますので、続けてそのまま計算式を入力します。

E5セルに [=$E$4+D5]と入力し、Enterキーで確定させると9:28という通過時間が計算されます。このE5セルの計算式をE6~E14までコピーすると、サブ4達成となる12:51というゴール時間が表示されました。

まとめ

絶対参照という少し複雑な機能が登場しましたが、$マークに「計算するセルを動かさないピン留め」のイメージをつけておくと覚えやすいですよ。ぜひ参考にしてくださいね。

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