実は給与所得者?! 力士の給料はどこから出ているの?


日本を代表するスポーツ「相撲」は、今や世界的にも有名となり、多くの外国人力士も活躍しています。1年に6回行われる大相撲本場所はテレビ中継もされ、その人気は衰えることはありません。そこで気になるのが、力士の給与体制。「番付」の高い方から収入が多いことは予想されますが、どこから給料が支払われ、どれくらいの金額を手にしているのでしょうか。今回は「相撲」の給与体制についてご紹介します。

 

力士は言わば“会社員”?!

プロスポーツ選手はほとんどが自営業者(個人事業主)であり、個人がチームと所属契約を結び、給料も所属チームから支払われますが、力士の給料は一括して日本相撲協会から支払われています。つまり、力士は“給与所得者”であり、「相撲協会」という会社に勤める“会社員”のような存在とも言えるでしょう。

そんな“給与所得者”でもある力士の給料は、「番付」によって決められています。この「番付」は、本場所の成績によって決定され、もちろん勝てば勝つほど「番付」も上昇。給料もその「番付順」=「実力順」に序列化されているのです。

 

主な収入の内訳とは?

力士の収入を大別すると、「月給」、「力士報奨金(給金)」、「懸賞金」という3本柱に分けることができます。

月給

まずは、基本となる「月給」ですが、日本相撲協会の寄付行為細則によれば、番付ごとの基本給である月給は金額が固定されています。

横綱=282万円
大関=234万7千円
関脇・小結=169万3千円
平幕=130万9千円
十両=103万6千円
(2017年9月時点の情報)

ここで特筆すべきは、「十両」より下の幕下力士は、「月給」を一銭も貰えないということ。「十両」に昇進し「関取」と呼ばれる地位について初めて「月給」が与えられ、力士は一人前の“職業”として認められるのです。

また、関脇と小結は同じ給料であり、平幕と十両では幕尻でも上位でも、給料は変わりません。「番付」の多少の変動は月給には大きく影響しないのも特徴の一つです。

力士報奨金(給金)

2つ目の「力士報奨金 (給金)」は、俗に「持ち給金」とも呼ばれ、勝ち星や優勝回数、金星の数によって細かく規定され、好成績を積み重ねれば、どんどん加算されていく仕組みになっています。例を挙げると、

● 序ノ口に出世 ⇒ 3円加算
● 本場所で勝ち越す ⇒ 勝ち越し星1番ごとに0.5円加算
● 金星をあげる ⇒ 10円加算
● 幕内最高優勝 ⇒ 30円加算、全勝優勝の場合は50円加算
● 番付が昇進する ⇒ 十両40円、幕内60円、大関100円、横綱150円に自動加算(※昇進した際に「持ち給金」が左記の最低額に達していなかった場合、その差額が加算される。すでに上回っている場合は減額されない。)

これらで累計された「持ち給金」を4,000倍 (2017年9月時点)した金額が、2ヶ月に一度ある本場所ごとに支給。現役最強の横綱・白鵬関は、歴代最高の「持ち給金」の記録を持っており、2017年9月場所を迎える段階で757万2千円 の報奨金を手にするとされています。

この「持ち給金」は、負け越したり休場したりしても基本的に下がることがなく、引退するまでコツコツと加算していけるのがポイントです。力士にとって「月給」と並び、大きな収入源の一つとなっています。「十両」より下の幕下力士の場合は、勝ち越せば「持ち給金」はしっかり加算されていきますが、月給同様、関取にならなければ「力士報奨金」は支払われません。

懸賞金

3つ目となる、土俵上を呼び出しが企業名や商品名の書かれた懸賞旗を掲げて回る「懸賞金」も、力士の大事な収入。取り組みで勝利した力士に授与されるもので、協賛する企業や団体が期待の一番に提供する懸賞は1本6万2千円。協会に手数料として5,300円が引かれ、力士の取り分は5万6,700円となります。そのうち力士の手取りは3万円、残りの2万6,700円は一度協会に預けられた後、納税充当金などに充てられ、余剰金は引退後に一括して支払われます。

これら3つの収入の他にも、本場所の各段優勝力士、三賞力士(幕内)に贈られる賞金があります。 幕内優勝賞金1,000万円、三賞受賞賞金各200万円、十両優勝賞金200万円、幕下優勝賞金50万円、三段目優勝賞金30万円、序二段優勝賞金 20万円 、序ノロ優勝賞金10万円となっています。人気力士となれば、さらにテレビ番組やCM出演料、後援会からのご祝儀なども加算され、数千万円から億単位の収入にまでなるようです。

 

力士は確定申告が必要?

このように、日本相撲協会から支払われる「月給」以外にも多くの収入を得ている力士は、確定申告の必要があり、それぞれの所得の特色により細分化されています。主に、

● 月給・力士褒賞金 ⇒ 給与所得
● 表彰金(優勝賞金など) ⇒ 一時所得
● スポンサーから受ける賞金(懸賞金、テレビ番組・CM出演料など) ⇒ 事業所得
● 後援会から受ける金品 ⇒ 一時所得
● 後援会等から受ける祝儀/法人から受けるもの ⇒ 一時所得、個人から受けるもの ⇒ 贈与

となっています。収入源が複数からある人気力士の場合は、特に毎年の確定申告も大変な作業となります。

 

意外と知らない「十両」の語源

前述してきたように、力士は「十両」となって初めて“一人前の力士”と認められるため、幕下力士は必死になってまずは「十両」を目指します。力士にとってターニングポイントとなるこの階級は、なぜ「十両」と呼ばれているのでしょうか。

「十両」 という階級が制定されたのは、明治時代のこと。通常は無給の幕下までの力士のうち、幕下上位十枚目までの力士には、場所ごとに”十両の給与を支給する”ことが定められました。よって「十両」は、「十枚目」とも呼ばれています。

 

まとめ

プロスポーツの中でも、特殊な給与体制を持つ大相撲ですが、この仕組みを知っていると相撲中継で懸賞金の数や「番付」の上下がより気になるかも?! 観戦する際は、ぜひ注目してみてくださいね。

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