応援の心理学 “負け犬効果”と“チアリーダー効果”って?


私たちがスポーツでがんばる人を応援するとき、そして競技者が応援されるとき、いくつかの心理効果が働くことが様々な研究からわかってきました。その中でも特に興味深い3つの現象、「負け犬(アンダードッグ)効果」「チアリーダー効果」「エンハンシング効果」ついて紹介します。

 

弱い立場の人を応援したくなる!「負け犬(アンダードッグ)効果」

野球の名門校と対戦し大量得点を入れられながらも全力で投球し続けるピッチャーや、駅伝で繰り上げスタートとなり襷(たすき)が繋がらないことがわかっていても全力で走り続ける選手etc. 弱い立場にある人をつい応援したくなる心理を「負け犬(アンダードッグ)効果」と言います。

元々日本には「判官(ほうがん・はんがん)びいき」という言葉があります。ここでの「判官」とは源義経、つまり九郎判官義経のこと。兄である源頼朝が、弟の義経の活躍を恐れて一方的に攻め滅ぼしたことに多くの人が同情を寄せたことから、弱い立場の人に対してえこひいきしてしまうことを意味するようになりました。よって「負け犬効果」は「判官びいき効果」と例えられることもあります。

「負け犬効果」の対極にあるのが「バンドワゴン効果」です。これは、大多数の人が支持しているものが正しいと思い込んでしまう心理現象のこと。みなさんも「みんなが好きだから」「流行っているから」という理由で商品を購入してしまった経験はありますよね。ちなみにバンドワゴンとはパレードなどの先頭を行く楽隊車のことで、「勝ち馬に乗る・時流に乗る」といった意味を含んでいます。

選挙報道で苦戦が伝えられると同情票が集まる「負け犬効果」や、売り切れが伝えられると余計に欲しくなってしまう「バンドワゴン効果」は、選挙活動やマーケティング活動においてもその心理効果が確認されています。

 

女性の前ではカッコつけたい?! 「チアリーダー効果」

英語の「チア(cheer)」には元々、応援・声援・元気づけるといった意味があります。

アメリカンフットボールの試合において、チアリーダーはお揃いの衣装を身にまとい、ポンポンを持って音楽に合わせてダンスしたり、エレベーターと呼ばれるメンバーの腕の上に乗るようなアクションをしたり、ときにはメンバーを空中に投げて受け止めるようなアクロバティックなダンスを披露。観客と一体となって会場を大いに盛り上げ、選手を全力で応援します。

そして近年の研究から、女性がその場にいると男性の行動が大胆かつ寛容になって張り切ったプレイを見せるといった、選手の行動へ影響を与えることが分かってきました。これが「チアリーダー効果」です。「女性の前ではカッコいいところを見せたい!」という感情、みなさんもなんとなくお分かりになるのではないでしょうか。

余談にはなりますが、華やかなグループに所属していることで個々の女性がより魅力的に見えるという現象も「チアリーダー効果」と呼ばれています。

 

やる気をアップさせる誉め方「エンハンシング効果」

英語の「エンハンシング(enhancing)」には、高める・増す・強化するなどの意味があります。

気持ちのこもった誉め言葉をもらえたり、他の人がいる前で褒めてもらえたり。もしくは、努力の過程を褒められるなどの言語的報酬をもらえるとモチベーションが高まり、目的を達成するための原動力になっていきます。これが「エンハンシング効果」です。

その反面、練習を積み重ね上達していくことによって得られる達成感や、人と順位を競う面白さなどの「内面的なモチベーション」で頑張っていた人が、懸賞金などの「外的報酬」を手に入れた瞬間に目的が達成感からお金に変わり、やる気を損ねてしまうことがあります。これを「アンダーマイニング効果」と呼んでいます。

この心理効果もスポーツだけに限りません。上手く楽器が弾けるようになりたい!と毎日練習していた人が、演奏で報酬を得られるようになり、一気に練習への情熱が冷めてしまうこともあります。つまり、金銭などの報酬があることが必ずしもモチベーションアップにはつながらず、むしろ自発的なやる気を低めてしまう可能性があることは、知っておくべきでしょう。

 

まとめ

人はいくつになっても応援されると嬉しいもの。「これ以上はもう頑張れない…」と思い込んでいても、人からかけてもらった言葉ひとつで気力が持ち直し、同時に体力が持ち直すことは多々あります。これらの心理効果を知っておくと、さらに選手のパワーを引き出すことができるかも?! ぜひ活用してみてくださいね。

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