なぜ、「カーボンファイバー」はスポーツ用品の素材として注目されているの?


「カーボンファイバー」という素材をご存知でしょうか? 特性を知り、この素材を使った製品を利用している人から、ほとんど馴染みのないという人まで様々だと思います。現在、数多くの分野で使用されている素材ですが、スポーツ用品の素材としても多くの支持を集めています。今回は、「カーボンファイバー」がどのような素材で、いかなる特徴を持っているのかなどをご紹介します。

 

どのような競技用品に使われている?


「カーボンファイバー」は、“最先端技術の結晶”とも称され、航空機や自動車、宇宙産業などで使用されているほか、スキー板やストック、テニスラケット、ゴルフシャフト、野球のバット、ロードバイクのフレーム、競技用ボートなどスポーツ用品でも多く使われている素材です。

なかでも近ごろ注目されているのが、パラアスリートが使用するレース用の義足や車椅子の素材としての利用です。素材自体の高い性能と合わせ、その特性により本来アスリートが持っている身体能力がより発揮できるようになったことで、記録更新ペースが加速。今後さらに「カーボンファイバー」を取り入れるパラアスリートが増え、ハイレベルな戦いが繰り広げられることになりそうです。

 

「カーボンファイバー」はどんな素材からできている?


「カーボンファイバー」とは、日本語に訳すと、カーボン=炭素、ファイバー=繊維と表されるように、文字通り“炭素からなる繊維”のこと。炭素繊維とは、合成繊維の「ポリアクリロニトリル(PAN)繊維」、または石油・石炭などの副生成物を原料とする「ピッチ繊維」といった有機繊維を、特殊な熱処理を加えて炭化させたものです。

炭素繊維は単体の「繊維」として使用されることはほとんどなく、基本的に樹脂や金属、セラミックスなどと組み合わせた“複合材料”として利用されます。この炭素繊維を織り込んで作られる「クロス」と呼ばれる布状のシートに、合成樹脂(プラスチック)を染み込ませて成形加工、積層、硬化させた複合材料が、前述した航空宇宙産業やスポーツ用品で使われている「炭素繊維強化プラスチック(CFRP)」となります。

「カーボンファイバー」は50年ほど前に日本で開発され、生産化が始まりました。現在、市販されている「カーボンファイバー」の90%以上は「ポリアクリロニトリル(PAN)繊維」を原料とする“PAN系炭素繊維”。生産量において日本企業上位3社で世界シェアの約7割を占め(2017年時点)、世界をリードしています。

 

「カーボンファイバー」の特徴


最先端の素材として様々な用途で使われ、広がりを見せている「カーボンファイバー」ですが、具体的にどういった特徴が、多くの分野で受け入れられている要因なのでしょうか。

その① 強い!

金属より低密度にも関わらず、鉄と比べて、強さを表す「比強度」(引っ張り強さ÷密度)が約10倍、物質変形のしにくさを表す「比弾性率」(弾性率÷密度)が約7倍あるとされ、大きな力が加わっても形を変えることなく、頑丈で壊れにくいという特長を持ちます。

その② 軽い!

金属に比べ非常に軽量。重量は鉄の約1/4と驚くほどの軽さです。従って、素材を「カーボンファイバー」にするだけで軽量化が実現。飛行機や自動車など乗り物の高速化や燃費向上、アスリートの運動性を大きくアップさせる効果へとつながっています。

その③ 厳しい環境にも耐えられる!

90%以上が炭素原子で構成されているため、耐腐食性が高く錆びないのも大きな魅力。ほかにも耐摩耗性や耐熱性、熱伸縮性、耐酸性、電導性に優れているので、自然環境や設置条件が厳しい場所でも、長期的に安定した働きをしてくれます。

「強い・軽い・錆びない」と素材の特性としては非の打ち所のない「カーボンファイバー」ですが、今後の課題も。一番に製造コストの高さが挙げられます。成形や加工、積層など製品化までの工数と多くの手間がかかり、大量生産が難しいことから、どうしても他素材に比べて割高になってしまいます。さらなる普及につなげるためには、このコスト面の問題をどうクリアするかが最重要ポイントとなりそうです。

 

まとめ

金属に代わる新素材として、需要がますます高まっていくことが予想される「カーボンファイバー」。製造技術の向上により安価となって、さまざまな製品に利用されるようになれば、私たちの身の回りで使用する機会も増えるかもしれませんね。アスリートのパフォーマンスを最大限に引き出す重要な素材として、スポーツ界での使用の期待も高まります。これからは、スポーツ観戦の際に、これらの素材に注目してみると、また違った角度からスポーツの面白さを発見できますよ!