種類・程度に分かれて競い、公平性を保つ! パラスポーツの「クラス分け」


パラスポーツは、障がい者スポーツを表す言葉として一般的にも広く知られてきていますが、健常者スポーツと比べて接する機会が少なく、どのような競技や戦いが繰り広げられているのかまだまだ知られていません。パラスポーツには、競技を公正に行うための「クラス分け」という重要なシステムがあることをご存知でしょうか。今回はその「クラス分け」の意義や分け方などをご紹介します。

 

パラスポーツならではの「クラス分け」とは?

ひとくちに障がいといっても、大きく分けて視覚障害、知能障害、肢体障害があり、障がいのある部位や種類はさまざま。さらに同じ障がいでも、程度が異なるだけで運動能力に大きな差が生まれ、競技において公平性を保つことが困難となります。そこで、同程度の障がいのある選手同士で公正に競い合えるようにと生まれたのが「クラス分け」という制度なのです。

選手は、原則としてクラスを持っていなければ競技大会に出場し、記録を公認してもらうことはできないため、出場前に必ず「クラス分け」を受ける必要があります。「クラス分け」は、①筋力テストや関節可動域テストなどの理学的検査を実施し、参加資格の有無や障がいの種類や程度を判断する「身体機能評価」、②競技中ならびに日常生活での動作能力を評価し、適切なクラスを判断する「技術評価」、③クラス分けを実施した大会の最初の出場種目を観察し、最終的なクラスを決定する「競技観察」、これら3つのプロセスを経て決定。

単純に障がいの程度だけでなく、その障がいが医学的、運動機能的に当該競技にどれくらい影響するかなどを専門の資格を持つ判定員が判断し、「クラス分け」を行っています。この「クラス分け」の規則は競技ごとに異なり、特に陸上競技ではクラスが細分化。その結果、リオオリンピックの100m走では男女合わせて30人の金メダリストが誕生し話題にもなりました。

では実際、各競技でどのような「クラス分け」がされているのか見ていきましょう。

 

6つのクラスに分かれるバドミントン

東京2020大会からパラリンピックの正式競技となる「バドミントン」。テクニック系の車椅子クラスとスピード&パワー系の立位クラスでは見どころも異なり、違った楽しさがあります。「クラス分け」とともに競技概要も合わせてご紹介します。

<クラス分け>

クラス 程度 対象となる障がい カテゴリー
WH1 重い 下肢に障害があり、立ってプレーすることができず、車椅子を使用する障がい 車椅子
WH2 軽い
SL3 重い 下肢障がい 立位
SL4 軽い
SU5 切断や麻痺などの上肢障がい
SS6 低身長症

<競技概要>

ネットの高さは通常のバドミントンと同じ。コートの大きさは一部のクラスで異なり、車椅子のシングルスは通常のコートの半分を使い、シャトルはネット周辺のサービスラインに落ちたものはアウトになります。SL3のシングルスも同じくコートの半分を使用します。全種目とも21点制。3ゲームマッチで2ゲーム先取のラリーポイント方式で行われます。

 

白熱した“頭脳戦”が見られるボッチャ

重度脳性麻痺もしくは同程度の四肢重度機能障がいなど、比較的重い障がいがある方のために考案されたヨーロッパ生まれのスポーツで、パラリンピックの正式種目。カーリングのような特性を持ち、知的な戦略と技術力が必要な競技です。こちらも「クラス分け」とともに競技概要も合わせてご紹介します。

<クラス分け>

クラス 対象となる障害 投球 勾配具 アシスタント
BC1 脳原性疾患
車椅子操作不可で四肢・体幹に重度の麻痺がある選手、下肢で車椅子操作が可能で足蹴りで競技する選手

(足蹴り可)
×
BC2

脳原性疾患
上肢で車いす操作がある程度可能な選手

× ×
BC3

脳原性疾患
最重度の選手が該当するクラス。自力による投球ができないため、アシスタントによるサポートにて「ランプ」を使用し競技を行う

不可
BC4

非脳原性疾患
頚髄損傷や筋ジストロフィーなど、BC1、BC2と同等の重度四肢機能障がいのある選手


(足蹴り可)
×
(足蹴り選手のみ可)

障がいによって手でボールを投げることができない選手は足蹴りしたり、「ランプ」と呼ばれる滑り台のような勾配具を使ってアシスタントのサポート受けたりしてボールを転がします。ただし、アシスタントは選手の指示に従い「ランプ」の角度や高さ、コースの調節をすることは可能ですが、選手にアドバイスをしたりコートの方を振り返ったりすることは禁止されています。

<競技概要>

12.5m×6mのバドミントンコート大のコートを使い、2人(または2チーム)で対戦。ジャックボール(目標球)と呼ばれる白いボールに向かって、自分の手持ちボール6球を投げたり、転がしたり、他のボールに当てたりしながら、いかに近づけるかを競います。

 

陸上はさらに細かな「クラス分け」が!

競技種目の多い陸上は、「クラス分け」も細分化され複雑です。観戦する際は下記の例を参考にしてみてください。

【例】T53C
Tを①、5を②、3を③、Cを④とし、下記の表に当てはめると、どの競技に出場する、どのような障がいを持つ選手なのかが確認できます。

①競技種類 T=トラック 走競技(100m~マラソン)、跳躍競技(走り幅跳び、走り高跳び、三段跳び)
F=フィールド 投てき競技(砲丸投げ、円盤投げ、やり投げ、こん棒投げ)

②障がいの種類

 

10番台 視覚障がいのある立位競技者
20番台 知的障がいのある立位競技者
30番台 脳原性の麻痺のある立位競技者、及び車椅子や投てき台を使用する競技者
40番台 低身長、脚長差、切断(義足未使用)、関節可動域制限、筋力低下等の障がいのある立位競技者
50番台 脚長差、切断、関節可動域制限、筋力低下等の障がいのある車椅子や投てき台を使用する競技者
60番台 競技に義足を装着して出場する競技者

③障がいの程度

障がいの程度に応じて0~9の番号が割り当てられます。基本的に番号が小さいほど障がいの程度は重くなります。

④クラス・ステータス

N 過去にクラス分けを受けた事がなく、競技前に受けなければならない者
R クラスが確定しておらず、再度クラス分けを受ける必要のある者
C クラスが確定した者

 

まとめ

パラアスリートが公平に競うための「クラス分け」の仕組み。同じ競技でも、クラスによって全く違った展開やプレイスタイルが見られるなど、パラスポーツならではの見応えがあるので、「クラス分け」についてよく知ってから観戦すると、より深く楽しめますよ。ぜひ注目してみてくださいね。