トレーニングに効果的なエクササイズの手法を活用する


主要エクササイズが一通りできるようになると、さらなる効果を引き出すために様々な手法を活用するようになると思います。今回はエクササイズの手法(*)の中でも比較的多く活用される種目をいくつかご紹介したいと思います。

(*)エクササイズにおける「手法」とは、エクササイズ効果を高めるために構築された一連のトレーニング方法や方式のことで、「テクニック」や「システム」と呼ばれることもあります。トレーニングの熟練度やスキルという意味での「テクニック」との混同を避けるために、本稿では「手法」という表記に統一しています。

まずは基本フォームを習得できているか確認する

筋力トレーニングを始める前に知っておきたい4つのこと」のコラムでも触れましたが、様々な手法を駆使してトレーニングをする前に、まずは各エクササイズを「正確なフォームでトレーニングできるかどうか」が非常に重要になってきます。
正しいフォームというものは、単に回数をこなせば身につくというものではありません。
これはトレーニングに限ったことではありませんが、多くのスポーツや武道、あるいは伝統芸能に至るまで、それぞれの動きに対して理にかなったフォームというものがあります。

しかしながら、そもそも「フォーム」とは一体何なのでしょう?コトバンクによると、「形、外形、形式、様式」とあり、スポーツの場合は、「運動をしている時の姿勢」とあります。
「フォーム」を「姿勢」という言葉に置き換えた場合には、運動・スポーツに限ったことではなく、日常生活のあらゆる場面で重要視され、多くの問題点も含むものではないでしょうか。

身近な例では「ご飯を食べる際の姿勢」や「椅子に腰かける姿勢」等、姿勢が悪いと「だらしなく見える、貧相に見える」といったの「外見上」の問題があります。また、慢性的な姿勢の悪さが、背骨や骨盤等のゆがみを引き起こし、腰痛や肩コリを引き起こしてしまうといった「習慣」に対する問題も挙げられます。
特に習慣は恐ろしいもので、無意識のうちに動きにも習慣が出てしまうことがあります。これはトレーニングにおいても言えることで、一旦悪いフォームを覚え込んでしまったら、意識して修正するよう努力しなければ、改善することが難しくなります。

これからいくつかの手法をご紹介していきますが、まずは正しいフォームでエクササイズできるかどうかを確認してください。この部分がクリアされていれば様々な手法を活用することで相乗効果が期待できると思います。
それでは、主に中級者以上の方が良く使う代表的な手法をいくつか紹介していきましょう。

1. フォースト・レップ

フォースト・レップとは、英語の「Forced(強行、強制)」と「reps(レペティション:反復)」から来ており、文字通り「強制的にレップ(反復)を繰り返す」という意味のエクササイズの手法です。
このフォースト・レップは、目標回数を超えて、さらに追い込んで鍛えるためのテクニックなので、筋肥大を目的としたトレーニングを行う場合によく活用されます。

やり方としては、補助者についてもらって実施する方法と、自分自身でやる2つの方法があります。例えば、ダンベルやバーベルを使ったアームカールを8回で限界がくるように重量設定します。当然目標回数に近づく7回目や最後の8回目は自力でダンベルを上げるのがやっとという状態になりますが、自力ではこれ以上エクササイズを続けられないといった状態から、さらに補助者の助けを借りて、もう2~3レップ行うのがフォースト・レップ法です。
自力で限界に達した後、補助を付けてさらに追い込むため、この手法を頻繁に活用するとオーバートレーニングを誘発することになるので注意が必要です。

なお、補助者がいない場合は、プリーチャーベンチ(*)またはアジャスタブルベンチ(角度調節が可能なベンチ)を使用してワンハンドアームカールを行い、限界が来たら片方の手で補助をして、追加で2~3レップ繰り返すという方法もあります。

(*)プリーチャーベンチとは、主にバイセップスカールを行うときに用いる傾斜がついたベンチで、このベンチを使ってアームカールを行う時の姿勢が、牧師(プリーチャー)が祈りを捧げているときの姿勢に似ているため、そう呼ばれています。(森永製菓株式会社発行:新トレーニング用語辞典より引用)

ここで注意しなければいけないのは、フォースト・レップだとして、自分で限界を迎える前に補助者をつけてしまう事です。

中には補助者を付けて5回も、6回もウェイトを挙げている人もいますが、これでは自分自身で限界までトレーニングしていないことになり、補助をつけることでかえってトレーニング強度を落としてしまっているケースも見受けられます。

自力で限界まで追い込んでトレーニングしているのであれば、「補助者を付けて頑張ってもせいぜい2回、多くても3回が限度」ということを覚えておきましょう。

2. スーパーセット

スーパーセットとは、拮抗する2つの筋肉を同時に効率よく鍛える手法で、筋力および筋肥大に効果があります。例えば、上腕部を鍛えるためには、大きく分けて上腕二頭筋と上腕三頭筋を鍛えなければならないのですが、これら2つの筋群を短い休息を挟んで連続して鍛える方法をスーパーセットといいます。

ちなみに、ボディメイクやボディビルディング目的等で身体作りする場合、全身の筋肉を1回のトレーニングで鍛えることは不可能です(全身を1回のトレーニングセッションで鍛えるにはエネルギーがもたないため)。そのため、大きく上半身、下半身に分けてトレーニングメニューを組みます。さらに上半身の中でも例えば「胸、上腕二頭筋、腹筋」や「背中、肩、上腕三頭筋」等、日を分けてパーツごとにトレーニングを行う(スプリットルーティン)ことで、より各部位に対して集中的なトレーニングが出来ます。

このようなメニューの中で、毎回同じルーティンに則ってトレーニングを行うのではなく、メニューに変化をもたせたい場合や、トレーニング時間が十分に取れない場合などに、スーパーセットを活用することがあります。ちなみに、スーパーセットの種目例として、以下のような組み合わせがあります。

【上腕二頭筋・上腕三頭筋】
アームカール&トライセップス プレス(プッシュ)ダウン

【大胸筋・背中】
ベンチプレス&ベントオーバーロウ

【脚】
レッグエクステンション&レッグカール

【腹筋・脊柱起立筋】
クランチ、Vシット&バックエクステンション、スーパーマン

以下に、一例として上腕のスーパーセットをご紹介しましょう。
まずは、左側の写真のように、アームカールを行い、目標回数が終了したら、休息をほとんど挟まずに、右側の写真のようにケーブルトライセップスプレス(プッシュ)ダウンを行います。

3. ドロップセット

ドロップセットは、ディセンディングセットとも呼ばれ、「1セット行って限界がきたら、休息を挟まずに扱う重量(負荷)を落として2セット目を行い、ここで限界がきたらさらに使用重量を落として次のセットに移る」というふうに、使用重量を小刻みに落としながら、エクササイズを続けることができないところまで、ターゲット部位を追い込んでいく方法です。

例えば、20kgのダンベルを使用してアームカールを行い10回で限界に達したら、即座に負荷を18kgに落として10回アームカールを行い、ここで限界に達したら、今度はダンベルの負荷を16kgに落としてまた10回というように、負荷を落としながら限界まで追い込んでいく手法です。

このドロップセットに関しては、「何セットやれば良いか」というセット数の問題ではなく、ターゲット部位を限界まで追い込むことが目的なので、自分の体力状況に合わせて調節すると良いでしょう。ちなみに、負荷を落として3セット以上出来る人もいれば、2セットでオールアウト(疲労困憊)してしまう人もいます。

このドロップセットという手法は1セット終了ごとに負荷を落とし、休息なしに次のセットに移行することを繰り返すため、今回紹介した手法の中では一番苦しい手法かもしれません。
ただ、この手法を正しいフォームで丁寧に行えば、筋力・筋肥大に大変有効なテクニックなので、さらなる成長を求めている方は試してみてはいかがでしょう。

 

まとめ

今回ご紹介したエクササイズの手法は、ほんの一部ですが、トレーニングのバリエーションの一つとして、知っておいて欲しいのでご紹介しました。
日々のトレーニングに変化をもたせたいときや、時間がないとき等にこれらの手法を駆使してトレーニングすることで、時間を有効に使えることになりますし、マンネリ化を防ぐことができます。
なお、今回ご紹介した手法以外にもまだまだたくさんの有効な手法がありますが、まずは基礎をしっかり作ることが先決です。身体の基礎が出来たうえでこれらの手法を活用すると、身体を変えることに大きく貢献してくれるでしょう。

ライタープロフィール

特定非営利活動法人 NSCAジャパン
ヒューマンパフォーマンスセンター マネージャー
木須 久智 (きす ひさとも)

筑波大学大学院体育研究科修了、専門は運動生化学。「レジスタンス運動における内分泌応答と眼圧の関係について研究を行う」。修了後は医療福祉系専門学校の非常勤講師およびフリーランスのパーソナルトレーナーとして活動。2009年4月にNSCAジャパン事務局に入局、同事務局では試験、会員管理、広報等、各部署を担当し、2017年4月からNSCAジャパンヒューマンパフォーマンスセンターの施設長を務める。
資格:CSCS, NSCA-CPT
一言:筋トレを通じて健全なココロとカラダを手に入れましょう!

 

トレーナープロフィール

特定非営利活動法人 NSCAジャパン
ヒューマンパフォーマンスセンター ディレクター
ヘッドS&Cコーチ
吉田 直人 (よしだ なおと)

中央大学経済学部卒業後、一度は金融業に就職するも、トレーナーの道を選ぶ。ウイダートレーニングラボヘッドS&Cコーチとして、育成年代からプロ選手まであらゆる競技のアスリートを指導したほか、ビーチバレーの草野選手や、ミス・ユニバース・ジャパンのモデルらの身体作りにも従事。その後、ジャパンラグビートップリーグHonda HEATヘッドS&Cコーチとして5年間従事し、2017年4月よりNSCAジャパンヒューマンパフォーマンセンターヘッドS&Cコーチを務める。
資格:CSCS,NSCA-CPT

 

 

関連記事