あまりの不評にルール改正決定 新ルール「コリジョンルール」とは


プロ野球で2016年のシーズンから新しく適用されることになった「コリジョンルール」ですが、早くもトラブルが続出し、見直しが決定しました。問題を多く抱えた新ルールの内容と、不満の声が多く上がった問題点についてご説明します。

 コリジョンルールってなに?

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まずは、コリジョンルールについてご説明します。「コリジョン」とは「衝突」という意味。三塁からの走者を捕手が体を張って止めるような形になる「クロスプレイ」による危険な衝突を防ぐことを目的としたルールです。

具体的には
・捕手は走者へのブロックや、走路をふさぐことを禁止
・走者は捕手への体当たりを禁止
といったことが取り決められ、2016年のシーズンから適用されました。

この新ルールにより、2016年前半の試合では、大事なシーンでの問題が次々と起こりました。「捕手は確実にアウトを取ったはずなのに、その後のビデオ判定で『走路の邪魔をした』とみなされセーフになり、相手側に1点が入った」またはその反対で「いったんはセーフの判定が下されたのに、ビデオ判定でアウトになった」といったことが度重なりました。その判定も、審判以外の人間がビデオを見直しても納得のいかない部分が多く、監督や選手は混乱し続ける結果となったのです。監督が審判に抗議する場面もたびたび見られ、その表情は、どうにも腑に落ちない心情をあらわにしたものでした。

このように周囲からブーイングを受け続けているコリジョンルールですが、そもそもどうして適用が決まったのでしょうか。次はコリジョンルールが導入された経緯についてご説明します。

どうしてコリジョンルールが導入されたの? 

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野球の試合の中で、貴重な1点が入るか否かの迫力ある「クロスプレイ」は大きな見どころのひとつです。しかしその反面、選手同士の危険な衝突事故が起こりやすいのも事実。アメリカのメジャーリーグ(MLB)では2011年、クロスプレイ時に捕手が足首の靭帯断裂の重傷を負う事故が起きてしまいました。

そして日本の試合でも危険なプレイがたびたび見られることが問題となり、監督や選手会側の要望もあって決まった新ルールが「コリジョンルール」だったのです。

このように、もともとは選手同士の危険な衝突を防ぎケガを予防することで、選手生命の延命につなげる目的で制定されたものでした。

コリジョンルールとはこのように選手のためを思って作られたルールでしたが、導入した結果はかえって現場に混乱をもたらすものでした。そして現場の関係者のみならず、観戦している野球ファンからも批判の声が次々と上がっています。

野球ファンからも不満の声が 

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クロスプレイは野球の試合中最も盛り上がるシーンの1つです。その大切なシーンがコリジョンルールの適用によって激減したことで、野球ファンからは「観戦がつまらなくなった」「迫力がなくなった」等、たくさんの不満の声が上がりました。「ケガ回避目的なら、走者側のタックルなど危険なプレイのみを禁止すればいいのに」など、ルールの改正を求める意見も。

また1点の攻防をめぐって盛り上がった後で、コリジョンルール適用を見定めるリプレイ検証のためとして、長いときには10分以上も試合が中断されることもありました。それに対する「試合が中断されるとこちらの勢いも半減する」、また判定が裏返ったときは「正しいと思われる判定の後でジャッジが覆され、消化不良」などの不満の声も多く上がりました。

まとめ

こうした批判が内外から強くなってきたため、2016年7月4日、コリジョンルールは運用基準を見直すことが決定しました。捕手の走路妨害に対する基準を緩め、実際に衝突が起きたかどうかに焦点を当てる方向で検討される予定で、早ければオールスター戦後の後半戦から新基準が適用される見通しです。こうしたシーズン途中でのルール改正は極めて異例のことです。選手をケガから守り、観客も納得できるようなルールに生まれ変わってくれることを祈ります。